2010年03月19日

この街を見守るオオタカ 繁殖始まる /-oVo-\

 朝5時家を出る。まだ、真っ暗だ。車には霜が降りている。パンとポカリとバナナと双眼鏡を車に積む。なかなか窓の霜が取れない。あまりアイドリングしていると近所にも環境にも迷惑だが、仕方がない。
 
 私にはやることがある。
 
 やっと車でスタートし、目的地の公園の車止めに車を置く、じっくり一人だけの時間を作るために他の車の進入は避けたいからだ。
 
 車から降りて双眼鏡をホルスターにセットする。まだ薄暗い。双眼鏡は薄暗くても見えるものを使っている。高い双眼鏡だが、こういうときに使うから意味がある。

 歩くスピードはゆっくり足音も声も出さない。
 道路には雪がうっすらと残る。
 坂を上がるたびにフクロウ、ホオジロ、ミソサザイ、カラ類と夜と朝の鳥たちの声が聞こえる。
 
 夜と朝の狭間、この時間でなくては意味がないことを求めて坂を上がる。
 
 目的地に着く。
 
 彼等も起きだした。2羽での合唱、オスの独唱、メスはそれに応える。
 「はじまったなぁ」わくわくしてくる。胸の鼓動が高鳴るのがわかる。笑顔になるが声は出さない。
 
 角度を変えて聴いてみよう。
坂を上がりきる。上がりきったところで聴いてみる。
 
 「けぇけぇけぇけぇけぇけぇけぇ、ふぇふぇふぇ」2羽での鳴き交わし。

 オオタカのオスメスの鳴き交わしである。
 
 この時期、この時間帯でしか聴くことはできない。

 夜が明けてしまうとオオタカから私の存在がわかってしまうしオスは朝一の餌狩りに行ってしまう。
 どんなに暗くても鳴き交わしを聴くときは「木に化ける」
様にしている。

 この時期はオオタカにとっても大切な時期だ。邪魔されたくないはずだ。
 
 5時35分夜が明けた。鳴き交わしは営巣林で続けられる。
 5時40分オスがアカマツの樹頂で林内部のメスと鳴き交わす。
 5時45分オスは朝の狩りのため、飛び立った。
 メスはベッキングコールを続ける。
 
 朝一の鳴き交わしは終わった。
 
 この鳴き交わしにこだわる。
 この鳴き交わしが聴きたくて、この場所のオオタカのことがもっと知りたくて、このオオタカを守りたくて、大切にしたいから。
 誰にも邪魔されないこの時間。この大切な時間はもう来ない。明日ではなく、今日、この瞬間。もう帰ってこない。
 
 このオオタカの棲む森のことを知りたい。寝ている暇はないですよ。
 
 他のどんな大切な用事や仕事があってもそれは理由ではないんです。早起きなんてできますよ。
 できないなんて怠けているだけですよ。
 
 知りたいから、そして大切だから行動するんです。
 そうしなければいくらどんなに時間が経過しようともわかりませんよ。
 いくら大切だ大切だと言っても説得力はありませんよ。
 
 ただし、今は産卵の約35日から40日前でオオタカにとっては大切な時期です。くれぐれも度が過ぎることや人間的な行動はさけながら観察しています。
 そう、心がけています。
 
 自然体で大切に思う気持ちを恒に頭と心に抱きながら観察しましょ。

 繁殖は順調、鳴き交わしの位置から繁殖地もほぼ変わらないと思われます。
 これからしばらくは大切な時期、皆様方騒がずにお願いいたします。

 「やまからうみ」と「ここのオオタカの雛」からのお願いです。


この街を見守るオオタカ 繁殖始まる /-oVo-\



Posted by やまからうみ at 07:09│Comments(0)
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